2014年10月12日日曜日

学芸的行事を「1」から我が事に

もうすぐ学習発表会があります。勤務校ではどの学年も劇や器楽演奏の練習に励んでいます。喜々として取り組む子の陰で、ちょっと浮かない顔の子どもたちも確かにいます。
 ともすると度重なる叱咤の末に「やらされ感」を募らせてしまうこの行事。とはいえ、保護者や地域の方々にがんばりを直接見てもらえるチャンスでもあります。

 子どもたちの独力で、数十分ものステージをプロデュースさせることはとても難しいといえます。教師主導の部分が多くなります。ある程度の結果を出すことを目標に取り組む行事ですから、やむを得ません。
 それでも、自分たちのがんばりで発表を作り上げたぞ!と思えるようにしたいな……そんな思いを抱えながら毎年のこの時期を過ごしていました。
 例えば学年発表のテーマ決め。発表を通してお客さんに伝えたいのはどんなことか? 演じるのは子どもたち自身ですから、子どもたちが伝えたい!と思うことを盛り込みたいものです。早め(1学期中)に話し合っておけば、教師は夏休み中にテーマに沿った企画を用意し、2学期に子ども達に提案することができます。
 私が目をつけたのは、劇中歌でした。
 劇の台本には劇中歌の楽譜がついている場合が多いです。それの歌詞を、子どもたちと一緒に作ってみようと考えたのです。あえて2番以降はなかったことにして、子どもたちと一緒に考えてみるというのはいかがでしょうか。
 ここでのポイントは「1番は残す(または教師が作る)」という点です。全くの白紙から歌詞を作るのは、とても難しいからです。
 
 手順は次の通りです。
  ①メンバーから4名程度の有志を募る。
    ②メンバーみんなから、2番以降の歌詞に入れてほしいキーワードを募る(写真)
   付せんや小さな紙に書いてもらえば、あとで分類しやすくなる。
  ③1番の歌詞やキーワードをもとにしながら、劇の主題に合った歌詞を作る。
  ④メンバーみんなに提案し、意見をもらって加除修正する。
   たいてい、この段階で「いいね!」となる。
  ⑤もう一度考え直して提案し、みんなの承認を得る。



 今年担任している3年生は、給食を取り上げた劇を演じます。(「ムシャムシャ大作戦」『みんなでつくる小学校劇4年』小峰書店より)嫌いな物を妖怪ムシャムシャが食べてくれることに。でも、それでいいのかな……自分で食べてみようよ!という劇です。
 台本を渡されて1ヶ月たったころ、こんな歌詞ができあがりました。

1番(作詞斎藤)
 早く食べよ お腹の虫が グウグウって泣いているよ
 おいしい給食が 待っているよ 両手を合わせてあいさつ「いただきまーす!」
  たまに ちょっぴり 苦手なの
 でもね 自分で 食べてみる
 友達いれば 勇気百倍
 楽しくおいしく 食べちゃうぞ

2番(作詞子どもたち)
 楽しく食べよ おいしい給食 残しちゃもったいないよ
 早く遊ぼ きれいに食べたら 両手を合わせてあいさつ「ごちそうさーん!」
 たまに ムシャムシャ 呼びたいな
 でもね 何でも 食べてみよう
 みんなで食べれば おいしかったね
 明日の給食 楽しみだ!

 提案を聞いた子どもたちは大喜び。拍手喝采で「(この歌詞が)いいでーす!!」でした。

 0から生み出すのは難しい。
 全てが決められていたら息苦しい。
 ならば、1から一緒に作ってみよう。

 本番はもうすぐです。
(斎藤 佳太)