2015年12月30日水曜日

2015年、あなたは何をおさめますか……!?

 2学期の学級をいかにおさめるか--? 12月5日に行われた第3回ことのは×北フェス合同研修会で与えられたのがこのテーマである。正確には「2学期学級じまい、完成の3学期に向けて布石を打つ!」であったのだが、自分としては「学級じまい」というより「学級おさめ」の方がふさわしいと感じた。
 「おさめる」には「納める」「収める」「治める」「修める」と4つの意味合いがある。どれを取るかは、担任が受け持ちの学級に対して取り組もうとした目標であり、その結果と言えるかもしれない。中学校3年生を受け持つ私は、欠点や足りないところを補いながら完成形に近づく「修める」を目指してきたつもりであったが、果たして達成度はどうだろう。単に2学期の成果や課題だけではなく、4月から(人によっては前年度の3学期からを含めて)の1年間を振り返る視点が必要だと言えまいか。
 例えば、私の勤務校では3年生の進級段階においても学級解体をして、新たに学級編制をし直す。4月にはまた新たな生徒と学級づくりを進めるわけだが、必然的に学級というよりも学年づくりがその基盤をなすこととなる。とすれば、新たに加わった学級担任が、楽に「縦糸」を張りやすくなるような環境を調整できたかどうか。システムを機能させ、その先にある主体的な学級体制を築くような意識へと生徒を導くことができたかどうか。人間関係調整力を発揮し、授業はもちろん学級活動においても、または学年間においても、「横糸」を誰とでも張れる雰囲気を生徒に導くことができたかどうか。こうした視点をチェックリストとして提示し、学年会で相互評価していくことにより学級修めの達成度が測ることができたのかもしれない。(実際は、行事指導や進路指導に追われて学級・学年づくりの評価はおざなりのままであったが……。)
 私が中3の学級に求めたいのは「気がつくと、自然と、つながっている」という姿勢である。決して大げさではない、さりげない「眼(まなこ)がけ、心がけ、言葉がけ」の大切さを訴えながら、時宜を逃さないような指導を心がけた。そして、学級担任である自分はもちろん、生徒たちにも「いろいろあったけど、振り返るとこのクラスでよかったね」といったカタルシス的自己満足だけで終わってほしくないという想いも、同時に持ち続けている。そこで中途半端な満足で終わってしまっては、卒業の先にある高校生活へと思いを馳せることはきっとできないだろう。
 決して閉じたり、締めたりするだけではなく、先を見据えて「常に開き続ける学級や学年」を目指していきたい。そんなことを感じた2015年だった。

(山下 幸)

2015年12月20日日曜日

取組をふり返って


先日まで,子どもたちは47都道府県の暗記に取組んでいた。
 前学年でも学習していたのだが,すっかり忘れてしまっていることがわかり,学年でもう一度取組むことになったのだ。
 子どもたちには,事前にプリントを配付し練習をしてもらい,いついつやるよと予告してテストを実施した。
 2回目のテストまでにほとんどの子が合格し,残るは3人になった。その3人と休み時間や給食の準備時間を利用し,一緒に練習したり家庭学習として練習してもらったりした。
「今度は合格できるかも。」
「練習してきたから大丈夫。」
子どもたちは自信をのぞかせ,3回目のテストに挑んだ。
 でも,あと少しというところで合格できなかった。
 そこで,また休み時間や給食の準備時間など時間を見つけて一緒に練習した。
「ここは?」
「愛知県。」
「ここは?」
「三重県。」

 そして,4回目のテストにチャレンジ。
「絶対大丈夫。」
「今度は,合格したと思う。」
 前回以上に自信たっぷりの様子だった。結果は,3人ともみごとに合格だった。結果を伝えると3人は,
「やった。」
と,とても喜んでいた。
 子どもたちは,休み時間でも「ちょっと練習しよう。」と言うと,当たり前のように練習していた。子どもたち自身,向上し続けていることを自覚していただろうし,合格したいという思いもあっただろう。さらに合格の基準も明確だったので,がんばりやすかったのだと思う。もしかしたら,やらなかったら怒られると思っていたかもしれない・・・。ともかく,子どもたちはがんばり続けた。そのことが合格につながったのはまちがいない。子どもたちが合格したことは,私もとても嬉しかった。
 一方で,今回のことを通してあらためて考えたことがいくつかある。
 一つは,結果だけに満足していてはいけないということである。全員が合格したからといって,適した指導方法だったとは言いきれない。別な方法でやったほうがより楽しくよりわかりやすく,よりやる気をもってできたかもしれない。結果だけを見るのではなく,その過程もふり返ることが今後につながると考えた。
 もう一つは,がんばりは人それぞれだということである。一つでもできるようになることが,その子にとってみるととても大きながんばりである場合もある。合格させることばかりに執着するのではなく,その子なりのがんばりをしっかり認められるようにしたい。また,がんばりすぎになっていないかを見とったり,「難しいです。」「苦手だから手伝ってください。」と,子どもたちが言えたりできるように,子どもへの接し方,学級の雰囲気も今一度考えていくことが必要だと考えた。
 最後に,がんばることが当たり前ではないということを気持ちの片隅にもっておく必要があるということである。子どもたちにどうしてもがんばることを求めてしまう自分がいる。がんばることを「よし」として,「苦手なことでもがんばろう」「がんばればできるようになる」「がんばろう」「がんばろう」と,子どもたちに投げかけている。でも,心に気になることがあったり体調がすぐれなかったりして,その日・その時はがんばるエネルギーが切れている場合だってある。究極なことをいえば,がんばらないという選択肢だってあるのだ。がんばることが当たり前と思っていては,そうできない子に寄り添うことはできないのではないかと考えた。
 忘れがちだが,日々当たり前のように行っているいろいろな取組を見直してみることが,目の前の子どもにあった環境づくりや指導方法につながるとあらためて気づかされた。
 
三浦 将大

2015年12月13日日曜日

「やらない」ではなく「できない」?


 2学期もまもなく終わりを迎えようとしています。学期末事務に追われながらも「あと数週間で終わる……。」と冬休みを心待ちにしている方も多いかもしれません。

 さてこの2学期、あなたが一番苦しんだことはなんでしょうか。授業が上手くいかない、生徒に指示が通らない、学級の子ども同士の人間関係など様々あることでしょう。これまでの9カ月間自分なりに指導してきたつもりなのに、なぜか成果が挙げられなかったもの、変化を感じられなかった、そういうものに「苦しみ」を感じることでしょう。

 このような問題に対して、私たち教師は「どうしたらうまくいくのだろうか?」と「How」の思考で考えがちです。熱心な教師ほど現状を「なんとかしたい」と思い、書籍で紹介されている手法を用いたり、他の同僚教師を参考にしたりと試行錯誤します。それでも一時的な効果が得られる程度でなかなか本質的な変化は起こりません。「どうしてちゃんとやってくれないんだ。」と深みにはまることになります。この負のループに乗ってしまうと苦しみから逃げるのは難しいものです。私自身もまさにこの負のループにはまっていた2学期でした。

 表題の言葉は先日参加した研究会で旭川の宇野先生が講座の中でおっしゃっていた言葉です。自分の思うようにいかない原因は子どもが「やらない」という態度の問題ではなく「できない」だけなのかもしれない。研究会の後、生徒を見る視点をこのように変えるだけで日々の苦しみに対するものの見え方が変わりました。すぐに子どもに変化を起こせるわけではないのですが、少なくとも自分の苦しみが軽減され、冷静に対応できるようになれたように思います。

 我々教師はうまくいかないことがあると、すぐに「心」の問題や「やる気」の問題と捉えてしまいがちです。自分自身や同僚の「うまくいかなさ」さえも「やる気」の問題にしてしまう方も多いように感じています。しかし単純に「できないだけなのでは?」と思考を転換することで同じ事象でも見え方は変わるものです。来年はより多角的に子どもを捉えられるようになりたいと思います。(髙橋和寛)

2015年12月7日月曜日

【開催報告】第76回教師力BRUSH-UPセミナーin帯広(11月29日)

  今回で5回目となる帯広集会。西村先生を中心に千葉先生の力もお借りしながら計画・準備とすすめてきました。おかげで多くの参加者とともに学びを深めることができました。

 
★「ポジティブ心理学を活かす道徳授業」:千葉孝司先生

 楽しい提示資料と淡々とした中にも優しさあふれる語り口で講座がスタート。「ポジティブ心理学」についての説明とそれをもとにした授業の提案がありました。「ポジティブ心理学」という言葉を初めて聞いたという参加者も多かったのですが,参加者は自分事として振り返ったり,受け持ちの子どもたちと重ね合わせて考えたりと身近な提案として学びを深めました。

 
★「心をゆさぶる道徳授業」:多賀一郎先生

 多賀先生が道徳の授業を考える時に大切にしている「心をゆさぶる」ということについて丁寧に説明。その後,実際に授業としてどのような実践があるか紹介していただきました。言葉を大切にしているとおっしゃっている通り,穏やかな語り口で「命の授業」について,取り組みや子どもたちの感想などを紹介していただき,参加者は心をゆさぶられた講座となりました。


★道徳授業実践提案:新川宏子先生・東拓先生・森実さとみ先生

 新川先生・東先生から模擬授業と言う形で実践提案,森実先生から星槎国際高校での取り組みについての報告をしてもらいました。模擬授業からは教材・資料の重要性や展開の方法について学びました。星槎国際高校の報告は初めて聞く方も多く,どのような取り組みをしているかを知る良い機会となりました。

 
★「キレイゴト抜きの道徳授業」:堀裕嗣先生

 スクールカーストについて,どのように考え,それらを学級経営・学年経営にどのように活かしていくのか,その具体例を提案していただきました。しっかりとした児童理解・生徒理解をしておくことで,子どもたちの人間関係の成長の見取ることができたり,教師としての立ち位置を考えたりすることができるというお話を聞き,改めて自らを振り返り,学びを深めることができました。


★「協同学習の道徳授業の相性は?」石川晋先生

 現在の道徳授業から,これからの道徳授業を考える際に重要なことについて提案していただきました。モラルジレンマやジャストコミュニティといった考え方の説明や絵本の読み聞かせ,「さよならレザン」の授業など様々な道徳の実践を提示。今後の道徳をどのように考え,何を大切に考えていかなければならないか,参加者それぞれの課題について提案していただきました。

 
講座全体を新川先生・山河先生・中村先生に記録していただき,FGを初めて見たという参加者にもより深い学びを提案できたのではないかと思います。

 
今回の集会は,参加者同士の交流やQAの時間を取りませんでした。そのぶん,講師の方々のお話に集中することができたのではと思います。全道各地から集まっていただいた参加者に感謝しつつ,今回,十勝で道徳の集会を開催したことが,今後の十勝にとって新たな一歩となりますように。        (木下尊徳)

2015年11月29日日曜日

【開催報告】教師力BRUSH-UPセミナーin登別(11月21日)


初開催となる登別で、地元登別からはもちろん、桧山・渡島・石狩からの参加者の中、何度でも挑戦できる安心・安全を感じさせる学級づくりについてともに学び 合えたこと、感謝しています。何より、ブラッシュアップセミナーに初めてという方も多かったのですが、互いに尊重し合い、認め合い、高め合えるような交流 が出来たこと、本当に嬉しく思っています。



一日をふり返ると、どの講座も参加者とともに考えることを基本とした素晴らしい時間でした。



第一講座の山口淳一先生、「安心とは」「安全とは」についての教師の在り方・関わり方についての考えを焦点化できました。学級での安心・安全ではない状態から、どのような取り組み方があるのか、短い時間で、とてもわかりやすい提案でした。

第二講座の大野睦仁先生、プロジェクトアドベンチャー(PA)という手法を用いて、参加者の固さをほぐし、お互いに安全な空間をつくり出せました。PAで育つ心、その心を育てるために、教師がどのような環境をつくり出していくのか、体験を通して楽しく学ぶことができました。

第 三講座の斎藤佳太先生、「クラス会議」について紹介し、教師の在り方や場づくりに至る学級の状態について問いを持つことができました。理論だけでなく、実 際に参加者同士でクラス会議を行うことで、どんな力がつけられるのか、そして安全に参加させるにはどんな関わり方があるのか身をもって感じられました。

午 後からは模擬授業。第四講座の小林雅哉先生、算数の2つの授業提案を通して、異なる集団・状況における学習への向かわせ方を考えることが出来ました。学習 者一人ひとりにどのような学習方法や学習課題の提示を行えばよいか、より多くの子が「わかった」という安心感を持てるようにどのような視点を持って授業を 構成するか、考えることができました。

第 五講座の大野睦仁先生、国語の授業提案を通して、アクティブ・ラーニングという考え方・取り組み方について具体的な提案でした。『意志ある交流』がまさに 体現された授業提案でした。詩の読み取りに際して、すでに持っている知識や考えをいかした交流をすることで、主体的に、新しく知識や考えを学ぶ楽しさを体 験できました。

第 六講座のリフレクションでは、私が欲張り過ぎて、時間をオーバーしてしまいました。安心・安全の講座なのに、貴重な時間を配慮出来ず、申し訳ありませんで した。講師と参加された皆さんとの交流を通して「安心・安全」について、さまざまな視点からより深く考えていただけたと思います。

講 座全体を通して、水戸ちひろ先生が行った記録。美しさはもちろん、各講座を何度でもふり返ることができ、聞き逃したり、わからなかったりしても、安心して 学べたのではないでしょうか。記録の前で参加者が熱心に講師に質問し交流している姿は、水戸先生のつくり出した空間のおかげだと思っています。


 
 講 座全体をふり返ると、どの講座でも、講師の笑顔があった。たとえ困っている状況であっても、どこか醸し出される安心感。安心・安全を感じさせる学級づくりは、結 局のところ、教師の『笑顔』に尽きるのだと思います。ほめることや認めること、叱ることの中にも、子どもたちと本気で向き合い、いっしょに笑顔でいるこ と。でも、どんなありふれた言葉よりも、子どもたちを思う笑顔が大切なのだと感じました。教師の心の在り方が必ず伝播します。教師にとっての安心・安全な のか?子どもにとっての安心・安全なのか?そういった自覚を持って、子どもたちの前に立ちたいと改めて意識できた一日でした。




 さまざまな視点から、地元登別だけでなく全道各地から。皆さんとともにつくり出した安心・安全を感じさせる空間で、いっぱい交流し、学び合えました。ありがとうございました。

(鍛治裕之)