2015年2月28日土曜日

目の前の子どもたちとともに

今年度も終盤となりました。 久々に担任に戻り、当たり前ではありますが、「子どもたちにとってどうなのか?」を忘れずに過ごそうと決めてきた1年でした。

最近になって、初めて受け持たせていただいた5年生をよく思い出します。8年前のことです。
今担任をしている子どもたちは、6年生になることをなかなか受け入れられず、でも向き合わなくてはならない環境と折り合いをつけようと、日々葛藤しています。それを間近で見ている私は、受け止め、受け入れ、でも具体的な指導も支援もしないことを選択しています。お互いに苦しいことも多い選択肢を選びました。私も、日々葛藤しているわけです。

8年前は、こんなことを選択できませんでした。むしろ、彼らが葛藤していることに気づくことさえできませんでした。自分本位の学級づくりであり、自分勝手な担任でした。彼らがいるようでいない、言わば「子ども不在」の学級づくり。卒業させた後、中学校のある先生に「女王の教室」と揶揄され、当時は憤慨しましたが、今考えると正しいことがよくわかります。 申し訳なさしかない2年です。 数人とFBでつながり、彼らがそれぞれの人生を歩み始めている様子を垣間見せてもらい、嬉しく思うと同時に、たくさんのことに気づかせてくれてありがとうと思います。
初めて持ち上がりで受け持たせてもらい、卒業させた彼らに対して、恥ずかしくない担任でありたいとの思いも大きくなりました。

残り数える程となった今年度。 目の前の子どもたちとともに、心から楽しかった!と言える学級じまいをしたいと、切に願う毎日です。

来年度のことは、来年度。
(水戸 ちひろ)

2015年2月27日金曜日

親と教師の狭間で

 私事ですが、2015年という年は実は私が結婚してちょうど20年目にあたる年てす。息子は大学入試、娘は高校入試という年とも重なり、私にとっては節目と言える年というわけです。
 1月から息子と娘の受験日が私立・国公立と毎週のように交互に訪れています。願書の記入や受験料の納入から始まり、飛行機や宿の手配や受験当日の交通手段、体調や天候の心配、一人暮らしを始める息子には住居探しや準備も含めて、妻ともどもここのところ何とも言えず落ち着かない毎日を過ごしています。
 もちろん、一番落ち着かないのは当人でしょうが、親の立場としては懐が寂しくなると同時に気遣いや気苦労も絶えないのが正直なところです。同時に、新しい世界に踏み出そうとしている彼らを羨ましくも感じます。
 ところで、毎日接している教室の子どもたちもやがて卒業して、我が子同様新しい世界に踏み出すことでしょう。そんな子どもたちの未来を、これまでは卒業と同時にどこか人ごとのように感じていました。
 しかし、いざ我が子が自分の道を切り開くために必死な姿を見ていると、自分が教師として送り出した子どもたちの未来も、これまでとはまたひと味違った身近なものとして感じるわけです。彼らも苦労しながら自分の足で一歩一歩歩んでいったんだろうな……と。未来を身近に感じるということは、当然、目の前の子どもたちに対し、教師として今この一瞬に何ができるか、どうしたら幸せにできるかを考えることにもつながります。
 教員生活23年を終えようとしている今、教師という職業の奥深さが少しずつわかってくる年になってきました。私は一人の教師であると同時に一人の親でもあります。この立場をもう少し突き詰めながら、教師という職業に反映させていこうかと考えています。
(山下 幸)

2015年2月23日月曜日

言葉以上のメッセージ性



 学校の中ではPTA担当でもある私は、先日、PTA広報誌祭りの表彰式に出席しました。本校のPTA広報誌は、保護者のみなさんが熱心に作成してくださり、今年も8年連続で特別賞を受賞したのです。
表彰式の前に、審査に関わっている北海道通信社の方が次のような講評を述べました。
「どの広報誌にも、書かれている言葉以上のメッセージ性があります。大切なのは、どのようなメッセージを読者に伝えるのか、伝わるのかを考えて作ることです」
実例を見せながらの説明には説得力があり、「なるほど。確かに」と思いながら話を聞いていました。そして、あ、そういえばと妙に納得してしまいました。

20代の頃、私はよく担任外の先生に、「子どもたち、落ち着いてないでしょ?放課後の教室見ればすぐ分かるよ」と言われたものです。「学級の様子を見に来たこともないのに、そんなことだけで評価するなんて」と当時は思っていたのですが、今、担任外という立場になってみると、それは本当だなとあらためて感じます。
放課後、学校を見回ると、いつもはきちんとそろっている机が乱れている日が続く教室、きれいに保たれているはずの床に、ゴミが落ち続けるようになった教室……。これは「いつもは気にできていたのに、今は気が回らなくなってしまっています」というような先生のメッセージが伝わってきます。そんなときは、そのクラスで問題がおきたり、けが人が出たり、することがありました。
また、やんちゃな子どもたちが多い学年は、ほぼまちがいなく汚れています。物や本が煩雑に置かれていたり、教卓が提出物であふれていたり、コート掛けには忘れ物の帽子や手袋が引っかけてあったり、ゴミ箱がゴミであふれていたり。これは子どもたちにも、「汚くなっていても、気にしないからね」という先生のメッセージが伝わっているのです。こうなると、いくら口で「ちゃんと掃除しよう!きれいにしよう!」と言葉で言っても、子どもたちはなかなか変わってくれません。掃除だけでなくて、日常の行動もピリッとしなくなります。
また、家庭学習の習慣がついていない子に、「今日はやってきた?」「明日は、計算3問だけでもやっておいでよ」などと、とにかく毎日、あきらめずに声をかけ続けます。すると、少しずつ自分からやり始めるようになったり、いろんなことに積極的になったりしたことがあります。これは、「今日はやってきたかい?」という言葉そのものの意味の他に、毎日声をかけ続けることで、「いつも見ているよ」「君のこと、心配しているよ」というメッセージを子どもに伝えていることになっているからだと思います。

このように、私たちも「言葉以上のメッセージ性」に、真剣に目を向けるべきだと思うのです。風貌や振る舞いにも、もちろん「言葉以上のメッセージ性」は現れているはずです。「どのようなメッセージを相手に伝えるのか、伝わるのかを考えて」行動したり、振る舞ったりすることを更に意識して、これからも子どもたちや保護者に接していきたいです。
(山口 淳一)

2015年2月22日日曜日

天道人に可なり


福澤諭吉の著作『福翁自伝』の中にある言葉です。意味を簡単に紹介します。

 

天の道を歩くことは全ての人にとって可能である。それが出来ないのは、人の知恵のなさが原因である。局所だけを見ず、全体の最大多数、最大幸福を見ると、万物とは、根本として人にとって良いものである。

 

自然の道理は万人に味方するというとても前向きな姿勢です。道はすべての人の前に開かれていて、自分自身の「不安」や「恐れ」「焦り」がその道を見えなくしてしまいます。いま悩んでいる人も、辛くて立ち止まっている人にも、道はいつも開かれていますという意味です。

 

教室で一生懸命伝えても、子どもたちは成長していないのではないかとくじけそうになることがたくさんあります。たくさんの課題が見つかって、さらにそれらの課題は複雑に絡み合っていて、どうしていいのかわからず、途方にくれてしまうことさもあります。そんなとき、『天道人に可なり』という言葉を思い出し、自分自身に何が足りないのか内省するようにしています。ですが、道がいつも開かれていることを感じても、その道を見ることが出来なければ、進むことは出来ません。

 

そんなとき、最初はとにかく目で見るようにしています。「見物・見学・拝見」する。子どもたちを見ることはもちろん、写真や動画で振り返ります。校内の先生方の授業を見させてもらうこともします。そうすると、そのうち「意見・所見・偏見・予見」を持つようになります。

そうしたら次は広く見ます。「回覧・閲覧・展覧・遊覧」します。いろんな人に出会い、意見をシェアしていきます。自分の意見がどう位置付けられるのか、本を読みます。授業のやり方を見せたくなります。仲間たちと意見を見せ合う時間を作ります。この時間はとても楽しく有意義に感じます。

すると、最初は漠然と見ていたことを、気を付けてよく見るようになります。「正視・注視・監視」するうちに、「視野」が開けてきます。見る視点が明らかになってきます。

そうすることを繰り返しやり続けることで、より念を入れてよく見るようになります。「観察」です。次第に「観」が磨かれてくるように感じています。こうして「観」を感じるようになってきて、やっと道が見つかります。

 

最近、「子どもたちを『観て』いますか?」という問いをよく目にします。努力をしても報われないと嘆くより、やみくもに進まず、「みる」段階を意識することが大事、「見る」「見せる」「見たい」そして、ようやく「見えてくる」のだと思います。

 

全ては「みる」ことから始まります。未知なるものを「みる」ことは、とても大切なことであり、見たときの感動は、とても大きい。たった一枚の写真からでも、実際に目では見えなくても、子どもたちの様子から見えてくるものもあると思います。「みる」ことを通して、道が開けてきます。何のために、何をみるのか、ただただチェックする毎日で終わらないよう、誰かと意見を交流したり、つながったりすることで、みるみる内に魅力的な道を進めるよう努めていきたいです。
(鍛冶裕之)

2015年2月8日日曜日

2月7日 日胆集会報告


苫小牧市民活動センター「ふれあい3・3」をお借りして、初めて苫小牧市で集会を開くことができました。



全道各地から12名の方にご参加いただき、日ごろの授業づくりについて考えを深め合うことができました。
事務局といたしましては、参加者の皆様にただただ感謝です。


アンケートをもとに、主な講座・模擬授業について集会の様子を報告いたします。


○授業デザインの14ポイント
 ジューシーポイント、たくさん共感できることがりました。組み合わせを考えてみたいです(^.^)

○有意義な授業にはこれが欠かせない!
 生徒には適切な負荷を与えていることが大事だと思いました。私は「発表の場面を生徒は実は望んでいる」ときいて目からうろこでした。

○算数同一単元模擬授業対決!
 参考になりました。2人を比べてではなく、2通りのやり方を頭の中で試行できました。

○改めて見つめよう「道徳の時間」の授業づくり
 補充・深化・統合の説明がわかりやすかったです。

○ オリジナルの道徳授業が生まれるまで
 大野先生の人柄がたくさんつまった30分間。ちょっと泣きそうでした。もっともっと尾は安氏が聞きたい!!です。基本形とオリジナルの比較ができ、見ていておもしろかったです。


○同一内容模擬授業対決!
 基本形とオリジナルの比較ができ、見ていておもしろかったです。


 夜は懇親会を行い、8名の皆様でさらにブレインストーミングが続きました・・・

  ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

(斎藤 佳太)

2015年2月7日土曜日

「教師力BRUSH-UPセミナーin日胆」のご案内

要はいつもの授業でしょ!

~日頃の授業を充実させよう~

開催日:平成27年2月7日(土)
会場:苫小牧市民活動センター「ふれあい3・3」
主催:教師力BRUSH-UPセミナー
参加費:3000円(会場費・資料代として)
後援:北海道教育委員会

学級づくり関係の書籍が、本屋さんの教育書コーナーの幅を占める昨今。日々
の学習の基盤である学級をよりよい集団にしたい――思いはどの先生も同じでし
ょう。ではどうやって? 学校で過ごす時間の大半を占める授業の充実こそが、
学校生活の充実のカギを握るはずです。学級びらきも学級じまいも、そこに至る
までの日々も、全てが授業で構成されています。みなさんで授業について考えて
みませんか?



 9:10 ~ 9:20 受付
 9:20 ~ 9:25 開会セレモニー
 9:25 ~ 9:50 オープニングセッション「これを知りたい考えたい!」
 9:55 ~ 10:20 授業デザインの“ジューシー”ポイント(鍛冶裕之)
10:20 ~ 10:55 有意義な授業にはこれが欠かせない!(山口淳一)
11:00 ~ 11:40 算数同一単元模擬授業対決! (鍛冶・山口)
11:40 ~ 12:20 カンファレンスで学び合おう①(指定討論者:南山潤司・高橋裕章)
12:20 ~ 13:20 休憩
13:20 ~ 13:45 改めて見つめよう「道徳の時間」って?(斎藤佳太)
13:45 ~ 14:10 オリジナルの道徳授業が生まれるまで(大野陸仁)
14:15 ~ 15:05 同一内容項目模擬授業対決! (斎藤・大野)
15:05 ~ 15:45 カンファレンスで学び合おう②
15:55 ~ 16:40 なんでもQ & A「授業について考えよう!」
16:40 閉会セレモニー

【講師】
○南山潤司(みなみやま・じゅんじ/教育サークルDNA代表)
  北海道教育大学札幌校卒。札幌市で長く小学校教諭として勤務した後、定年し、現在は「教育
  サークルDNA」代表として、本セミナーを主宰。サークル名「DNA」(=だれでも・
  なんでも・あり)が示すとおり、主義主張にこだわらない研究姿勢は、札幌近郊を中心に
  慕う者が多い。主著:『学級経営力・高学年 学級担任の責任』『聞き方スキルを鍛える授
  業づくり』(ともに明治図書)など著書多数。
○高橋裕章(たかはし・ひろあき/札幌市立藻岩小学校・教諭)
  北海道教育大学函館校卒。教育実践サークル「DNA」副代表。1992 年に教育実践サークル
  「DNA」を南山潤司氏とともに立ち上げる。「DNA」の国語実践研究では、科学的「読み」 
  の授業研究会から読解の実践方法を学び、現在は、その手法を活かした読解指導や論理的
  思考力を高める授業づくりに力を入れている。『学級経営力・高学年学級担任の責任』『読
  書活用能力の育成』(以上明治図書)などの共著がある。
○大野睦仁(おおの・むつひと/札幌市立厚別通小学校・教諭)
  北海道教育大学岩見沢校卒。札幌市近郊教育サークル「GO-AHEAD」代表。「教師力
  BRUSH-UP セミナー」事務局長。「いのちの授業」をライフワークとして取り組む。『ク
  ラスに安心感が生まれるペア・グループ学習』(学事出版)『学級経営力・高学年学級担任
  の責任』(明治図書)「イラスト版からだに障害のある人へのサポート 子どもとマスター
  する40 のボランティア」(合同出版)など共著多数。
○山口淳一(やまぐち・じゅんいち/札幌市立藻岩北小学校・教諭)
  北海道教育大学旭川校卒。新卒時の職場で高橋裕章氏と出会い、勤務時間後の学習会に参
  加、真剣な学びの姿勢に多大な影響と感銘を受ける。現在は、南山潤司氏が主宰する「教  
  育サークルDNA」で、授業技術、学級経営、小学校教科全体の学びを重ねている。
  共著『学級経営力・高学年学級担任の責任』『国語科で育てる新しい学力5-読書活用能力
  の育成』(明治図書)。



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http://kokucheese.com/event/index/235481/