2017年2月26日日曜日

苫小牧集会 開催報告

2月25日(土)、苫小牧市民活動センターにて、第87回教師力BRUSH-UPセミナーin苫小牧を開催しました。
「みんなを包み込む教室を創る」がテーマでした。

「包み込む」とは、どんなことなのか?
「包み込む」ことは、本当に子供のためになるのか?
「包み込んだその後」はどうするのか?

「こうすればできる」という話ではなく、子供たちの今や近い未来、遠い未来を見つめながら考えた1日になりました。

第一講座は大野睦仁先生による「みんなを包み込む学級づくり」と、斎藤佳太先生、水戸ちひろ先生による同テーマでの実践発表を二本行った後、講師3人による鼎談を行いました。
第二講座も同じ構成で、テーマを「みんなを包み込む授業づくり」としました。

「これをすればできる」といった方法論に終始するのではなく、「子供たちをこのように見取ったからこの方法を選んだ」という、教育観、児童生徒観についての深い話を聞くことができました。

その後、2つの講座を受けて話し合いたいテーマをグループごとに決め、約40分ほどのグループでの話合いが行われました。

包み込むとはどういうことなのか?という話をさらに深めているグループや、今自分たちが行っている指導を振り返っているグループなど、様々な論点で盛んな交流がなされていました。

会の終わりには、爽やかな表情でお帰りになる方が多かったと思います。本集会が、参加者の皆さんにとって勇気や希望をお届けできるものになっていたら、幸いです。
最後にある方がアンケートに書いてくださった感想を紹介いたします。

(以下、引用)
・(第一講座に対する感想)「包み込む」というテーマで3人の先生のお話を聞いて、ずっとモヤモヤしていた「多様性を受け入れる」ということと「強制する」という一見相反することのどちらも必要だということを感じて、スッキリしました。その間で、教師としてどうかかわるか を、これからもずっと悩んで考えていきたいと思いました。
・(グループでのシェアリングについての感想)参加者の疑問や興味を深める機会となり、よかったのではないかと思う。ここで語られた、突っ込んだ話や困り感こそ、参加者が語りたい聞きたいことだと思った。
(引用終わり)

「簡単に答えを出すのではなく、悩み、揺れる中で現在地の答えを見つけようとする」そのために「突っ込んだ話や困り感を語り合い、聞き合う」ということが、大切なんだなあと私自身も、考えさせられました。参加者の真剣に語り合う姿やこのようなフィードバックから、事務局にとっても、勇気をもらえる集会となりました。
ご参会いただいた皆様、ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。

(小林 雅哉)

2017年2月19日日曜日

校内研究はどのように引き継ぐべきか

 勤務校の研修は、3年次計画の3年目を終えました。
 次の担当に引き継ぐために心がけたことは次の4点です。

  1 全てのデータを残そう
  2 活動の枠組みを残そう
  3 「議論から逃げない」姿勢を残そう
  4 でも、「捨てられてよい」という余白も残そう

 こんな発想で「校内研修の引き継ぎ」を考えてみました。

1 全てのデータを残そう
 研修部の活動にかかわる全てのデータを残すことを心がけています。研修部としての企画文書に止まらず、以下のデータを校内のサーバーに保存しています。
 ① 研修部提案文書(活動計画や指導案書式)
 ② 研修部通信・ソースになった資料
 ③ 外部講師への依頼状・礼状
 ④ 指導案・ワークシート・授業記録
 ⑤ 研修部内の議題をまとめた文書
 ⑥ 研究紀要書式・原稿・業者への発注文書
 ⑦ 公開授業の写真データ
   ⑧ 全体研修のPPTスライド
   ⑨ 授業づくりワークシート
   ⑩ 「書くこと」指導事項系統表
 ⑪ 研究紀要発送の鑑文
 これらのデータを日付順にソートしとくことで、「いつ」「どんな内容を」発信していたのかがわかるようにしておきます。最低限の仕事ですが、「過去の仕事は全て現在の叩き台」となるように整備しました。

2 活動の枠組みを残そう
 校内研修には、その学校の研修が歩んできた歴史があります。内容はその時々によって重点の置き方が変わっても、年間の行事予定のように、物理的に「この中でやらなくてはならない」という規制も働いている中での活動です。つまり、如何に工夫しようとしたとしても、物理的に動かしようのない「時間(=研修のコマ数)」というフレームがあり、年度ごとの反省の度に最適化の努力を重ねた結果がその学校の研修体制です。
 そう考えると、新しい年度を迎える度に一から作りあげるのは大変な労力であるとともに「やってみたけど、結局、以前と同じような進め方になった」となりかねません。それではロスの方が大きく、貴重な時間を費やす意義も見出しづらくなってしまいます。
 どの程度まで校内のコンセンサスが得られているのかにもよりますが、例えば本校の研修推進の枠組みは次のようになっています。

 【1学期】
  ・研修部年間活動計画提案
  ・研究紀要プロット提案
  ・外部講師による現職研修
  ・研修部提案授業/指導案書式提案/事後研の進め方の確認
 【夏休み中】
  ・指導案作成
 【2学期】
  ・指導案検討会
  ・全員授業公開
  ・研究紀要見本原稿提案
 【冬休み中】
  ・研究紀要原稿作成
 【3学期】
  ・研究紀要丁合い・製本
  ・次年度計画立案

 こうした、「中身は教科でも領域でも構わないけれど、動き方としては一定」という枠組みが残っている状態が、後任に優しい体制なのではないでしょうか。どのような「料理(研究内容)」を盛りつけてもよいが「皿(活動の枠組み)」は既にある、という状態です。「この皿は、大変貴重な皿である」という価値付けも同時に行います。過去の研究紀要を繙くと、そのヒントが得られます。過去の研究紀要は、代々の研修主任が、職員とともに向きあってきた学校の課題が記録されています。何に悩み、越えようとしてきたのか。丁寧に読んでいくと、それを綴った当時の試行錯誤が伝わってきます。その過去の取り組みと現在の取り組みをつなげて語ったときに、「本校はこういう課題に向きあってきた。だから現在がこうなのだ」と言うことができます。歴史を語れることは,説得力を高めることにつながるのではないかと考えています。

3 「議論から逃げない」姿勢を残そう
 どんな体制になったとしても、考え方というのは多様です。よく引き合いに出される「パレートの法則」のように、賛同者・中間層・批判者の割合は「2:6:2」です。まず始めに「どのようなシステムを敷いたとしても、必ず批判は受ける」という諦念は必要なのでは、と思います。
 その上で、「議論のタネ」というものは、賛同者からも、中間層からも、批判者からも得られるものですし、そこから中間層を大きく引き込む結果につながり賛同者が増えることも考えられます。そう考えると、疑問や異論は歓迎すべきものです。何も「論破せよ」というのではないのです。「すみません、研修部の考えが足りませんでした」と謝る必要もありません。
 大事なのは「研修部としての見解」をしっかり出して、向きあうことです。
 ある年、こんなことがありました。研修部の年間活動計画に対して、次のような意見が出されたのです。

「国語科で研究をするのは構わない。だが、内容をある程度絞らなければ結局は研修成果が見えづらいのではないか。」

 3年次計画の1年目の提案でした。教科は国語としつつも、領域を「話す聞く」「書く」「読む」「言語事項」のどれでもよいとした背景には、研修部の中に「絞ると『やりづらい』という批判を受けるのではないか」という腰の引けた考えがありました。そこへの意見です。結局、紆余曲折があって1年次には絞りませんでした。そして、2年次からは内容を「書くこと」における「説明的な文章」と思い切った焦点化をしました。その結果、何が起きたかというと…。

 全体研修の場における質問が激増した

 つまり、それまでは「なんでもいいですよ」「先生方のやりやすいようにやってください」という姿勢を取ることによって、そこからうまれる軋轢や説明責任から「逃げていた」わけです。研修部の腰が引けていては、議論は始めから噛み合いません。そのような研修への参加意欲も当事者意識も低くなってしまうのは自然なことです。研修部が腹を括って、研究内容を焦点化しました。場合によっては、それを負担に感じられる先生もいるかもしれません。見通しがないことについて不安を覚えるのは仕方が無いことです。全体研修の場で受けた質問に対して、答えられるものはその場で答え、答えられないものについては持ち帰って検討することを約束しました。
 「持ち帰って検討する」ことを約束した内容については、必ず、調べて研修部通信にまとめ、職員全体で共有することにしました。また、そのソースになった資料については研修部で共有しました。「1」で述べた校内サーバーに保存し、いつでも閲覧できるようにしました。
 このように、研修部が「議論から逃げない」姿勢を見せることによって、校内研修の時間における話し合いは活性化しました。校内研修の画像を開くと、そこには色とりどりの付箋が貼られ、分類され、成果と課題が明らかになった模造紙が並んでいます。見た目にも充実していると自負しています。しかし、ワークショップの手法を取り入れることは大切ですが、それだけでは本質に迫ることは難しいです。その大前提には研修部が議論から逃げないという姿勢が重要だった、と気付かされました。そうなったときに、批判者は、実は批判者ではなかった、ということもようやくわかりました。「全員で進める」というのは「全員が賛同者になる」という意味ではありません。批判や異論も推進力にするということなのではないかと考えています。

4 でも、「捨てられてよい」という余白も残そう
 ここまでを基本的なスタンスとして、次年度の研究主題と年次計画(5年計画で2年次に見直し)活動計画と新しい指導案の書式はつくってあります。会議を通せばそのままで動き出せる形にしてありますが、あくまでも「案」であるという方針を打ち出しています。
 現在の研修部から見える景色を前提としているこの計画は、やはり「現在の風景」に過ぎうません。年度が替われば、子どもも職員も変わります。学校に働く力学も変わるでしょう。現在の視点から最適だと思える計画も、風景が新しいものになれば取り組みづらいものになるかもしれません。実際にどのように動くのかは新しい担当者に委ねるしかないわけです。
 ですから、「28年度スタッフはここまで考えました。このまま動くのも、別の計画で動くのもお任せします」という引き継ぎ方をしようと考えています。それがよいのかどうかはわかりませんが、少なくとも選択肢は増やしているはずです。何年かしたら後任の方や、他の先生達に、この引き継ぎの仕方はどうだったのかフィードバックをいただこうと思います。

 最後までおつきあい下さり、ありがとうございました。
                                                        (2017/02/19 藤原友和)

2017年2月11日土曜日

「自分らしさ」って何だろう


 
 昨年の12月3日に帯広で行われた、BRUSH-UPセミナーに参加してきました。「これが私の生きる道」「自分らしさってなんだろう」というテーマや講座内容に強く魅かれました。



学生生活では、「失敗しないように」「叱られないように」学校生活を送っていました。社会人1年目に、ある人から「辻村さんって特徴ないよね」と言われました。恥ずかしくなったと同時に自分でも「その通りなんだよなあ」と思いました。自分に自信が持てなくて、周りの目が気になってしまう。だから自分の思いが言えない。「自分らしいってなんだろう」「私らしいってどういうことだろう」と頭がぐるぐるしてしまうこともあります。そんな思いもあって、参加しました。



道中では、道路の真ん中で大きな雄鹿に1頭、道路脇に佇む雌鹿2頭と出会いました。さすが北海道だと思いました。絶対ぶつからないようにしようと思い、到着した帯広は都会でした。市内にスタバが2軒もあって、さらに都会に見えました。



 講座に参加して、たくさんの方のお話を聴くことができました。

 

 今の私の心に深く残る言葉がいくつもありました。(この言葉だけ読むと、何のことか分からないかもしれません。すみません。)



「誰のための指導なのだろうね。」

「できなさを理解する。許す」

「男性だからできやすいこと。女性だからできやすいこと。」

「自分で考えて、自分で決める」

「伸びていく人は、リフレクションが上手」




 講師の先生方のお話を聞いていると、皆さん本当に様々な経験をされていました。良いこともそうでないこともお話してくださいました。そして皆さん、「人との出会い」を語っていました。私は、講座最後のリフレクションで、「今の自分を認めて、コレかなあと思うことを続けていくこと。それが自分らしさに近づいていくことかな。」と書きました。今の自分を認めていくこと、できない自分を知ること、そこから学んでいくこと。そして「人との出会い」を大切にしたいと思います。


 BRUSHUPでたくさんの人に出会うことができます。ご縁をいただくことができます。時折苦しいこともありますが(笑)、「私らしく生きていく」ために、学び続けていきたいです。帯広は素敵な町でした。ありがとうございました。斜里にもスタバがほしいです。

(辻村 佳子)

1年生の教室に常備しておくとよいもの

今年度は,11年ぶりに1年生の担任になりました。
学年を組んでいる同僚も11年ぶりです…。
年度初めは,色々と試行錯誤したものです。
そして,もうすぐ1年が終わろうとしています。

そこで,教室に常備しておいてよかったものを3つ取り上げてみます。
ものによっては学校で用意してあるものもあるかと思いますが,ここでは自分で用意したものを取り上げます。

①ガムテープ
掃除の時に大活躍。掃除当番の仕事が終わった子は,ガムテープをちぎって教室の隅をペタペタ。
遊ぶ子なんていません。というより,休み時間もやっています。
机や椅子の脚の裏なんかもきれいにできます。
コロコロの粘着テープや色々なガムテープを試しましたが,100円程度の安価なクラフトテープが床に張り付かず,ちぎりやすく,使いやすいです。

②ポリ袋(小)
100円程度で100枚のものです。
給食で揚げパンが出たときに,揚げパンをポリ袋に入れてからお皿の上に載せて配膳しました。
袋に入れることでしっかり持って食べられる,落とす子がいない,きな粉が散らからないという感じです。
給食で納豆が出たときなんかは,班に1枚渡しておくと,班で納豆のゴミをひとまとめにして片付けがスムーズにできます。

③ウエットティッシュ
100円ちょっとで70枚入りのものを使っています。
たまに日課で清掃なしという日があるとき,机拭きに使用します。また,図工が4時間目で机雑巾をぬらして絞って,拭いて,雑巾を洗って…の一連の作業の時間が難しいときにはこれで対応していました。
給食などで誤って床をこぼしてしまった時にも使いました。
雑巾を使ってきちんとやることも大切ですが,時短が優先されるときには使っています。

他にもありますが,思い付いた3つ(ベスト3)を挙げてみました。

               (大西 陵公)

2017年2月5日日曜日

第86回 旭川集会終了!

2月4日(土)、旭川市の上川教育研修センターにて、旭川集会を開きました。
5大都市連続セミナーの第一弾として、札幌以外のまちでは初めての模擬授業12連発集会でした。

国語・道徳・学活という3つの分野について4本ずつ、計12本の授業を受けて比較する中で、「主体的・対話的で深い学び」のある授業づくりについて考えました。

授業者にはブラッシュのメンバーに加え、上川管内を始めとした道北の先生方に多数ご登壇いただきました。参加者も、旭川周辺から広くお集まりいただき、様々な交流をすることができました。

対話のある授業を考えて持ち寄りましたので、必然的にグループ活動が多く展開されました。参加者の皆様の意識の高さから、どの授業でも活発な交流がなされました。

4本の授業が終わるたびに、模造紙の記録を見ながら授業者と「対話」を行い、授業づくりについての理解を深め合いました。

とはいえ、「深い学び」に至るまでにはまだまだ工夫が足らないことがよく分かりました。

12本の授業を受け、髙橋裕章先生・堀裕嗣先生の対談を聞き、さらにグループワークによって今後の授業づくりに大切なことを探しました。

今回お集まりいただきました皆様に感謝いたします。
5大都市セミナーは来年度にかけて続きます。
今後とも、ぜひご参加くださいませ。


2017年2月2日木曜日

第92回教師力BRUSH-UPセミナーin札幌のご案内

~模擬授業12連発!5大都市連続セミナーfinal~ 

五大都市連続で行う「模擬授業12連発セミナー」のファイナルを札幌にて開催します!
30年度から教科となる道徳での模擬授業です。
そして、今回は、なんと価値項目ごとに対決型で模擬授業をします。

道内の実践家が6つの価値項目ごとに、どんな教材で、どんな授業をするのか。
かなり刺激的で、熱い1日になります。語り継がれる1日になります。

たくさんの参加をお待ちしています!


日時:2017年7月22日(土)
場所:札幌市産業振興センター(予定)
定員:40名
参加費:3000円


09:00~09:10 受付
09:10~09:15 開会セレモニー

記録者:藤原友和・増澤友志(他交渉中)
模擬授業対決1「希望・勇気」
09:15~09:30 模擬授業1/太田充紀(上川・小学校)
09:30~09:45 模擬授業2/渡部陽介(札幌・中学校)

模擬授業対決2「尊敬・感謝」
09:45~10:00 模擬授業3/福川洋枝(上川・小学校)
10:00~10:15 模擬授業4/山河 愛(十勝・小学校)
10:15~10:30 交流タイム(模擬授業1~4)

模擬授業対決3「思いやり」
10:45~11:00 模擬授業5/三浦将大(渡島・小学校)
11:00~11:15 模擬授業6/斎藤佳太(胆振・小学校)

模擬授業対決4「生命尊重」
11:15~11:30 模擬授業7/西村 弦(十勝・小学校)
11:30~11:45 模擬授業8/高橋裕章(札幌・小学校)
11:45~12:00 交流タイム(模擬授業5~8)

模擬授業対決5「家族愛」
13:00~13:30 模擬授業9/宇野弘恵(旭川・小学校)
13:30~14:00 模擬授業10/山下 幸(札幌・中学校)
14:00~14:10 交流タイム(模擬授業9・10)

模擬授業対決6「正義」
14:20~14:50 模擬授業11/大野睦仁(札幌・小学校)
14:50~15:20 模擬授業12/堀 裕嗣(札幌・中学校)
15:20~15:30 交流タイム(模擬授業11・12)

15:45~16:45 クロージングセッション/藤原友和(渡島・小学校)