2017年4月29日土曜日

平成28年度総括&新年度に向けて

 平成28年度の教師力BRUSH-UPセミナーの活動が3月末の札幌集会で終わり、すでに新年度の活動は、4月8日の函館集会から始まっています。  平成28年度も北見や苫小牧、函館など、道内各地で、たくさんの方々と共に学び会えたことに、心より感謝しています。  さて、平成29年度は、道徳が教科としてスタートする前年であり、新学習指導要領の移行措置がスタートする前年でもあります。  平成29年度のブラッシュは、これまで以上に「ミライ」に目を向けたセミナーを開催していきいたいと考えています。そして、これまで以上に、道内各地で、共に学び会う仲間と出会い、目の前の子どもたちのために、自分たちのために、学び合える場を作っていきたいと思っています。  引き続き、教師力BRUSH-UPセミナーをよろしくお願いします。
  教師力BRUSH-UPセミナー代表 大野睦仁

2017年4月9日日曜日

第89回教師力BRUSHUPセミナーin函館ふりかえり

第89回教師力BRUSH-UPセミナーin函館が終わりました。

今回のセミナーは「道徳の模擬授業12連発〜今、道徳をどう説く?〜」をテー
マに掲げ、北海道各地及び青森からも模擬授業者を招いて行われたチャレンジン
グな企画でした。

12本の模擬授業は3つのパートに分かれています。
それぞれ、
「やる気スイッチONになる道徳」
「葛藤のある道徳」
「考え、議論する道徳」
とタイトルをつけています。
そして1時間20分の
「リフレクション」を最後に設けています。

これは、意欲喚起→課題場面との遭遇→現場でのリアルな答えを見つけていこう
(+振り返り)、とする社会構成主義的な展開を意図したものです。一日を通し
て、思考の流れがALのモデルになるようにデザインしました。

道徳の授業は、授業者のこだわりや価値観で教材が選定され、活動が構想され、
指導言が考えられていきます。その授業づくりへの姿勢そのものが、私たち教員
にとっての「教材」となります。

空知から登壇して下さった、友利真一さん・高橋勝幸さんの模擬授業は、義務教
育最終段階で、中学生が何をどこまで考えるのか、感じることのできる空間にな
りました。職員研修で追試したいと思いました。いえ、たぶんします。

札幌からのBRUSH中核メンバーの高橋裕章さん、大野睦仁さん、山口淳一さんの
授業は、さすがに安定感がありました。裕章さんの「問題の投げ出し方」は若い
うちはできません。一般的な「ハードル」と「まさにその現場での躊躇」「背中
を押した存在」という、大きな問いから初めて、自分へと焦点化していく流れが
見事でした。大野さんの練られた活動構成は、カリキュラムを「隠す」仕組みが
緻密です。悪い人ですね(笑)。材も「Yahoo!知恵袋」という興味を引き出す仕
組みを使っていました。山口さんは絵本の持ち方が逆でした。あ、いえ。訂正。
山口さんの授業は、絵本の魅力を最大限引き出す授業でした。そして「大人っ
て、親って」とほんのり考えさせるあったかい授業でした。

青森から参加の工藤麻乃さんの授業は、絵本の使い方をブラッシュアップして、
ストレートにメッセージが伝わるようにフレームが工夫されていました。駒井さ
んの動画を使った授業は「公」を考える切り口で、「私と公の葛藤」を取り上げ
ていました。蓮ちゃんを教材化するのは反則です(笑)

渡島の滝田さんの授業は、低学年に向けて「絵本のキャラクターを追体験する」
というフレームで構成されていました。道徳の授業で、一般化がスムーズに機能
した稀な授業だったと思います。

檜山の田名部君の授業は、「看図アプローチ」を道徳に使おうという試みでし
た。看図による「創造性」と、道徳の価値項目へと向かう「収斂性」をどのよう
に考えていくのかという点において課題の残る授業でしたが、道徳の授業では、
資料に没入すればするほど、子どもの思考が多様になり、ねらいから外れていく
という、教科固有の難しさがあります。それを考えられたという点で、「考え、
議論する」切り口として提案性と可能性を感じました。

函館組の鈴木綾・田中のぞみは年齢に似合わず、落ち着いた授業展開でした。
「努力」という価値に向かって、まずフレームを明確にした鈴木さんの授業は、
スムーズに流れていきました。資料提示の仕方も工夫されていて、興味を持って
聴き続けることのできる話でした。田中さんの授業は、「ヘルプカード」を教材
化していました。特によかった点は「ヘルプカードを使った当事者のコメント」
を5通り用意していた点です。理解がないと戸惑いやおそれを生みます。理解が
進むと垣根は低くなります。「あと一歩」を踏み出せないでいる人の背中を押す
のは、こうした当事者の声なのではないかなと思いました。

交流タイムとリフレクションタイムは、藤原と三浦がそれぞれ担当しました。
「部屋の四隅」というアクティビティを、ファシグラ+フリーディスカッション
で環境調整した交流タイム。参加者自身がファシグラするリフレクションタイム
と、「学びをアジャストする」仕掛けで一日を締めくくりました。

5大都市連続セミナーの第2回も充実の時間でした。
次は帯広にバトンタッチします。
現場からは以上です!!

         (2017/04/09 藤原友和)