2018年1月23日火曜日

給食隊形は一つのバロメーター

 1月15日は3学期始業式でした。北海道内の中学校のほとんどはこの日か、もしくは翌日から3年生の定期テストが行われます。学年末の評価・評定の材となるテスト結果により、入試の合否材料となる学習点が変動します。国語教師である私は、もちろんこのテストについて物申したい気持ちはありますが、それは次回に譲り、今回は「給食」がテーマです。なぜ給食?と思うかもしれませんが、ここには大事なバロメーターが隠されているのです。
 テスト時の座席隊形は出席番号順が普通でしょう。そして、テストの合間の給食隊形は、普段とは違ってこの日だけは特別措置がとられます。そう、「オールフリー」です。普段の給食は班ごとに机を合わせて、当番に協力しながらなどとガチガチに決められているのが、テスト時だけは自由裁量となります。結果、担任としては不安と期待の両面を感じるのが本音でしょうし、生徒も同じ気持ちと言えるかもしれません。なぜなら、座席の自由化はクラスの人間関係が浮き彫りにされるからです。
 その不安に耐えきれないがために、給食だけは普段通りの座席隊形に戻す担任もいるかもしれません。しかし、私はあえてオールフリーにします。それは学級づくりの進捗状況を確認する意味合いがあるからです。普段は男女入り交じった班でそれ相応に楽しそうに会話しながら食べたり、隣の班の同性と大きな声でおしゃべりし合ったりしている関係が、オールフリーとなると同性同士、あるいは仲の良いもの同士が固まり合って食べるわけです。もちろん、おひとりさまを好む者は、ひとりであることを保障します。最初のうちは孤立していないかと心配になって、担任自らちょっといじったり、配慮の声をかけたりしていますが、一人でいる方が気楽だという層はかならずいる訳ですからそれを尊重すること
も考えねばなりません。
 よくよく観察してみると、普段とは違う気心の知れた友達とともに給食を食べる生徒の表情は柔和で、かつ笑顔が多いのが特徴と言えます。また、おひとりさま席に座る彼も、早く食べ終わったら大好きな小説にどっぷり浸って読書する姿も見られます。要は、一人ひとりが自分の気持ちに正直でいられること。実はこれが学級づくりのバロメーターとなり得るわけです。
 とは言え、テスト時の給食隊形が内心不安でたまらない生徒がいるかもしれません。本人は一緒に食べたくても、誰にも誘ってもらえず、いじめ被害を訴えてくる生徒がいてもおかしくないでしょう。あるいは、テスト時だけはワガママが認められると勘違いする輩も現れるかもしれません。それも学級がつくられていく一つの過程とみなし、ブレずに継続できるかどうか。あるいは逆に、一つの事案に納得いかず、また新たな試みを始めてしまうのか。実は教師のこうした姿勢こそが、学級づくりのバロメーターとしては一番の問題となり得るような気がします。(山下 幸) 

0 件のコメント:

コメントを投稿