2018年2月18日日曜日

函館集会報告

結局、リフレクションって何?
~リフレクションをリフレクションする試み~

 平成30年2月17日(土)、猛吹雪の函館で「第98回教師力BRUSH-UPセミナーin函館」が開催されました。北海道内外から22名の参加のあった学習会は想定した以上の手ごたえを感じるものとなりました。参加してくださった皆さんに心から感謝したいと思います。

1 サマーのアンサーソング

この場で考えたことは、日常の実践に生かせなければ学んだとは言えません。そして、その学びは継続してこそ改善や創造につながっていきます。平たく言うと「やりっぱなしはもったいない」ということです。
平成29年の夏に行われた教師力BRUSH-UPサマーセミナーは「リフレクション」がテーマでした。元木さんという新進気鋭のファシリテーターをお招きしたワークショップではレゴブロックを使って「言葉にすること」と「まだ言葉にならないもの」をそのまま表出するという自己リフレクションのあり方や、大野さんや金さんのリフレクションに刺激を受け、自分のリフレクション実践を相対化する視点が得られました。
 そこで、函館では仲間と相談して、「リフレクションについて、考え続ける仕組みをつくろう」ということになりました。具体的には2月17日の函館での学習会に「リフレクション」を位置づけること、そしてそれまでの間にメンバー持ち回りで「私のリフレクション」をテーマにブログを輪番で書こうとしました。そのブログは、このブログなわけでして、過去記事を読んでいただければ、函館のメンバーがどんなことを考えて2月のセミナーを迎えたのかをご覧いただけるかと思います。

2 函館学習会の企画意図


また、セミナーについては再三、再四告知しましたように、小学校から高校、そして大学まで、各校種の先生方がそれぞれの現場で実践した「リフレクション」を持ち寄って、共通項の取り出しや、考えている範囲の違いに学び合い、最後には大野睦仁先生のリフレクション講座で〆るという構成にして、函館メンバーにも登壇の機会をつくり、「考え続ける時間」をつくりました。ここでは、胆振からは斉藤佳太・小林雅哉というサポートスタッフにも来ていただき、函館メンバーの三浦将大も含めてコーディネーターをしてもらいました。つまり、加藤慈子・工藤麻乃・鈴木綾・清水巌といった若手がコンテンツをまとめることで、「リフレクション」が起きる仕掛けをつくり、小林・三浦といった中堅がそれをコーディネートすることで「メタリフレクション」を行うというつくりを試みています。これにFGも模造紙に描くメンバー、スケッチブックに描くテーブルグラフィッカーと分け、さらに年齢や性別、校種が響き合うようにメンバーを配置しています。
 さらに、オープニングは高校の現場でから長澤元子が「古典B」におけるリフレクション実践を提案しました。それに続いて小学校の学級経営におけるリフレクション提案を20分×2本(低学年と高学年)、その後の協議80分、午後は道徳模擬授業を30分×2本(小学校と中学校)、その後の協議90分とすることで、「逆向き設計」な構成にしています。高校実践を冒頭に持ってきて「到達点の姿」を掴み、学級経営(小学校低学年・小学校高学年)→授業づくり(小学校高学年・中学校)と問題領域を徐々に焦点化しながら学年の段階を登っていくことで「リフレクションって何だろう?」を掘り下げていくようにと考えました。

3 セミナーの成果とこれから


言う間でもなく、「リフレクション」は対象を必要とします。
 「何についての」リフレクションなのかということです。対象なしのリフレクションは考えられません。リフレクションを考えるための材として基調提案が1本、実践提案が2本、模擬授業が2本並びました。このどれもが質の高い提案でした。そして、リフクレションが「主観のフィルター」の話であることの帰結として、提案者の個性が色濃く出たものとなりました。その詳細に立ち入ることはしませんが、ようするに「リフレクションについてinputする時間があった(みんなサマーに参加していた)」「リフレクションについて考え続ける時間があった」ということ、そしてそれを「みんなでやった」ということが大きかったのではないかと思います。
 考えに考え抜いたものを持ち寄って、それが当日にどんどん相対化されていく…。内藤一志先生が考える視点をどんどん投げて来てくれる…。最後には大野さんがピシッと〆る提案をする、という奇跡の様な一日となりました。これって、「主体的・対話的で(各個人にとっての)深い学び」として機能したかもしれないな、と思います。
 あぁ、そういえば今回はクロージングセッションを設けていません。いろんなことを考えてカットしたしたのですが、大野さんはその意図を汲んでくれて、その機能をもたせつつ、「(プログラムに)リフレクション活動がないことによるリフレクションの継続」を起こすように構成された講座を展開してくださいました。さすがです。
 さて、これからです。
 半年かけて準備をするという、割と「コスト高め」の期間を設定し、「テンション高め」の一日を過ごしました。リフレクションと言う難しいテーマを難しいまま考え、受け取りました。ごろっとした異物を呑みこんだ状態です。これからの実践の中で「溶かしていく作業」が私を含め、各自に求められます。それに合わせて、函館で学びの場が自然なサイクルになるように、テーマや開催時期も含め考えていかなければいけないなぁ、と思いました。
 ちょっとまた別の話になりますが、最近考えているのは「たし算発想」「ひき算発想」「かけ算発想」による学びのあり方です(わり算の具体例がまだ思いつかないのです・笑)。「たし算」ばかりでは幼く、「かけ算」ばかりでは、消化に時間がかかります。「ひき算」の発想も取り入れてみたいなぁと考えています。一つの学習会が、いくつもの答えを生み出し、また一つの問いへとつながっていく。そのような贅沢を味わいつつ、函館の学習会を終えました。
 2017年度のBRUSHの活動は、第99回である3月の札幌集会を残すのみとなりました。この活動を通して出会った皆さんに感謝しつつ、新年度に向けて一歩踏み出したいと思います。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

                          (2018/02/18 藤原友和)

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